同じ曲・プレイヤー・イコライザーで聞いても有線イヤホンによっては低音が濃い・迫力のあるものがあります。私自身もライブで体感する低音が大好きです。本サイトでレビューしてきた中にも低音がマシマシなイヤホンは多々ありました。
そこで本記事では筆者が実際に聴き込んできた有線イヤホンの中から、低音に個性のある10本を NUARL・FIIO・Hi-Unit(有線ピヤホン)・AAW・intime の5ブランド別に紹介します。価格帯は約1,700円〜66,000円と幅広く、低音の強さを★10段階で数値化したうえで、低音が控えめなモデルから順に並べています。読み進めるほど低音が濃く・深く・重くなっていきます。自分がどのあたりが好みなのか、参考になれば幸いです。
その他、こちらの特集も参考にどうぞ。


低音の星評価について
今回の星は 「低音の強さ」1軸のみ となっています。解像度やコスパは含みません。また、この10本の中での相対評価であることにご留意ください。
| 星 | レベル | 目安 |
|---|---|---|
| ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ | 2/10 | 低音は脇役。控えめ |
| ★★★★☆☆☆☆☆☆ | 4/10 | 全体を支える程度。バランス型 |
| ★★★★★★☆☆☆☆ | 6/10 | しっかり主張。低音を意識して聴ける |
| ★★★★★★★★☆☆ | 8/10 | 低音が主役。量感・迫力がはっきりある |
| ★★★★★★★★★★ | 10/10 | 深く濃く、低音だけを味わうほど。 |
一言で低音の強さと言っても深く沈むのか、キレがあるのか、広がるのか、といった違いもあります。同じレベルでもその違いについては本文に記載しています。 なお、ノズル交換で低域の量を変えられるモデル(NUARL の2機種)はレンジ表記にしています。
低音レベル早見表

低音の弱い順に並べています。記事本文の並びもこの順です。
| – | ブランド | 低音の強さ | 低音のキャラクター | 価格(e☆イヤホン) |
|---|---|---|---|---|
| NUARL Overture | NUARL | ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 〜 ★★★★★☆☆☆☆☆ (3〜5/10) | 軽やかでタイト。ノズル4種で3dBずつ微調整 | ¥66,000 (販売終了) |
| NUARL NX1 Chapter2 | NUARL | ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 〜 ★★★★★★☆☆☆☆ (3〜6/10) | ノズルで約8dB変化。緑軸で一気に重厚へ | ¥49,500 |
| FIIO JD10 | FIIO | ★★★★★★☆☆☆☆ (6/10) | パンチ重視。沈み込みより打撃感 | ¥1,760 |
| FIIO JD1 | FIIO | ★★★★★★★☆☆☆ (7/10) | 低域>高域>中域のドンシャリ。お祭り感 | ¥3,015 |
| Hi-Unit 有線ピヤホン3 | Hi-Unit | ★★★★★★★☆☆☆ (7/10) | 重みと深さがありつつスパッとキレる | ¥41,800 |
| Hi-Unit 有線ピヤホン5 | Hi-Unit | ★★★★★★★★☆☆ (8/10) | 迫力と解像度を両立。低域が横に広がる | ¥57,200 |
| AAW Z06 | AAW | ★★★★★★★★☆☆ (8/10) | 深く生々しくうねる。量より質感と深み | ¥48,400 |
| AAW Z07 | AAW | ★★★★★★★★★☆ (9/10) | どっしり重厚。空気と残響をまとった低音 | ¥58,000 |
| intime 脂 (KOTTERI) MarkII -コッテリマシマシ- | intime | ★★★★★★★★★★ (10/10) | 30Hz付近の厚み、サステインが長い | ¥18,000(販売終了) |
| intime 脂 (KOTTERI) ALTERNATIVE -コッテリ オルタナ- | intime | ★★★★★★★★★★ (10/10) | 深く沈むのに輪郭が崩れない。低音超特化 | ¥12,000 |
※価格は各記事掲載時点のものです。最新の価格はリンク先をご確認ください。
比較対象製品
今回ご紹介する製品のうち、詳細レビューがあるものはこちらです。








intime 脂 (KOTTERI) の2機種は個別レビュー記事がないため、本記事で初めて紹介します。
スペック比較表
| – | NUARL Overture | NUARL NX1 Chapter2 | FIIO JD10 | FIIO JD1 | Hi-Unit 有線ピヤホン3 | Hi-Unit 有線ピヤホン5 | AAW Z06 | AAW Z07 | intime 脂 (KOTTERI) MarkII -コッテリマシマシ- | intime 脂 (KOTTERI) ALTERNATIVE -コッテリ オルタナ- |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ドライバー構成 | φ10mm DLC振動板 DD「NUARL DRIVER [N10]v6」 | φ10mm 単層カーボンナノチューブ振動板 DD「NUARL DRIVER [N10]v5X2」 | 10mm ポリマー複合振動板 DD | 10mm LCP振動板 DD | DD(ベリリウムコーティング振動板) | DD(デュアル磁気回路) | 2DD+4BA(3way / 6ドライバー) | 1DD+6BA(3way / 7ドライバー) | Diamond Coated DD + VST-R | φ10mm ダイヤモンドコートDD + φ10mm セラミックツイータ |
| インピーダンス | 16Ω | 16Ω | 32Ω@1kHz | 24Ω@1kHz | 16Ω | 18Ω | 12Ω@1kHz | 12Ω | メーカー情報なし | 22Ω |
| 音圧感度 | 105dB±3dB/1mW | 108dB±3dB/1mW | 105dB/mW@1kHz | 109dB/Vrms@1kHz | 102dB±3dB | 108dB | 110dB SPL@1kHz | 101dB | メーカー情報なし | 105dB/mW |
| 再生周波数帯域 | 10〜40kHz | 10〜40kHz | 20Hz〜40kHz | 20Hz〜40kHz | 20Hz〜20kHz | 20Hz〜20kHz | 10Hz〜40kHz | 10Hz〜40kHz | メーカー情報なし | 15Hz〜40kHz |
| プラグ | 4.4mm(3.5mm変換ケーブル付属) | 4.4mm(3.5mm変換ケーブル付属) | 3.5mm / USB Type-C | 3.5mm / USB Type-C | 3.5mm | 3.5mm | 4.4mm | 3.5mm / 4.4mm スイッチング式 | 3.5mm | 3.5mm |
| リケーブル | Pentaconn Ear | 0.78mm 2Pin | 0.78mm 2Pin(3.5mm Ver. のみ) | 0.78mm 2pin(3.5mm Ver. のみ) | 0.78mm 2Pin | 0.78mm 2Pin | 0.78mm 2Pin | 0.78mm 2Pin | MMCX | 非対応 |
| 参考価格(e☆イヤホン. 価格は変動することがあります.) | ¥66,000 税込 (販売終了) | ¥49,500 税込 | ¥1,760 税込(Type-C ¥2,420 税込) | ¥3,015 税込 | ¥41,800 税込 | ¥57,200 税込 | ¥48,400 税込 | ¥58,000 税込 | ¥18,000 税込(販売終了) | ¥12,000 税込 |
※価格は各記事掲載時点のものです。最新の価格はリンク先をご確認ください。
ブランド別 低音の効いた有線イヤホン
NUARL : ノズル交換で低音を”盛れる”高解像モデル
NUARL の有線イヤホン Overture/NX1 Chapter2 は、Interchangeable Nozzle(交換ノズル) を採用しているのがポイントです。ノズルを差し替えることで500Hz以下の低域の量感を段階的に変えられるため、「普段はタイトに、ロックを聴くときは重厚に」といった使い分けができます。
ただし、両機種とも基本的には低音が主役ではありません。ベースにあるのは非常に高い解像度と分離感、そしてスピード感です。ノズルで低音を増やすことはできますが、高解像度・高分離感のスピーディさはそのままに、迫力を強めることができます。今回の中では最も低音が控えめなポジションですが、このカスタマイズ性は他のイヤホンにはない魅力です。
NUARL Overture : 4種のノズルで低域の輪郭だけを濃くしていく最上位機(販売終了)

¥66,000(e☆イヤホン)/ φ10mm DLC振動板 DD / 16Ω
低音の強さ : ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 〜 ★★★★★☆☆☆☆☆ (3〜5/10)
(残念ながら現在は販売終了しています。) NUARL のフラッグシップ有線イヤホンです。φ10mm DLC振動板の「NUARL DRIVER [N10]v6」に、世界初という「ハイブリッド HDSS」を組み合わせた設計で、この10本の中でも解像度・分離感は最上位クラス。イエロー・レッド・ホワイト・ブラックの4種類のノズルが短軸・長軸それぞれに用意されており、合計8本のノズルで低域を3dBずつ調整できます。
低音特集で最上位価格のモデルが最も低音が控えめということ逆転が起きていますが、やはり基本は低音がメインではなく解像度・分離感・スピード感がメインのモデルです。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: 標準のイエローノズルでは、そこそこの重さと厚みでタイトかつ軽めです。コンパクトにまとまり、迫力を出すタイプではありません。レッド→ホワイト→ブラックと変えていくと低域の輪郭が濃くなり存在感が出てきますが、重たくなったりブーミーになったりはせず、タイトさとスピード感は保たれたままです。最も低域の多いブラックノズルでようやくベースの存在感がメインになるくらいで、筆者の印象では「ゴリゴリの低音」というほどではありません。この中ではまだ控えめです。
中域・ボーカル: 過度に強調されず自然なバランスです。すっきりとクリアで輪郭もはっきりしており、女性ボーカルを繊細に聴かせてくれます。
高域: クリアで伸びが良く、詰まりを感じません。刺さらないよう整えられているため、安心して音量を上げられます。低域を濃くしても高域が埋もれないのも良いポイントです。
装着感: コンパクトで耳に寄り添う形状です。フィット感は抜群ですが、ステンレス鋼製筐体のためそこそこの重さがあります。
付属品: 8本のノズル、4.4mmバランスケーブル、3.5mm変換ケーブル、3種類のイヤーピース、セミハードケースと非常に充実しています。

NUARL NX1 Chapter2 : オレンジと緑で別のイヤホンになる、約8dBの振れ幅

低音の強さ : ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 〜 ★★★★★★☆☆☆☆ (3〜6/10)
Overture の後に発売され、価格的には弟分にあたるモデルですが、低域の振れ幅はこちらの方が大きいです。オレンジとグリーンの2色×長軸・短軸の計4本のノズルが付属し、オレンジとグリーンでは低域の量感に約8dBの差があります。Overture が3dB刻みの微調整だったのに対し、こちらは2段階で大きく変化します。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: 標準のオレンジ長軸ノズルでは、広がらずにタイトに締まった低域です。よく聴くとなかなかに深いところまで出ていますが重たくはなく、スピーディです。これをグリーン長軸に変えると印象がガラッと変わり、オレンジでは中域と同程度だった低域がドシッと重く、存在感が大幅に増します。厚く重く広がり、一気に重厚感が出るため、これなら低音好きにも刺さるレベルです。筆者の印象では、今回の前半グループの中では最も”化ける”1本です。
中域・ボーカル: 特別に前へ出るわけではなく他の帯域と肩を並べる位置ですが、埋もれることなくしっかり存在感があります。グリーンノズルにすると相対的に低域の後ろに回ります。
高域: 非常に解像度・分離感が高くキレッキレで、かなり上まで伸びます。曲によっては刺さりを感じる場合もあるほどで、グリーンノズルはこの高域の主張を抑えるという意味でも有効です。
装着感: コンパクトな筐体で耳への収まりが非常に良く、ピタッとハマります。遮音性も高めで、圧迫感が少なく長時間でも疲れにくいバランスの良さがあります。
付属品: 交換ノズル4種、4.4mmバランスケーブル、3.5mm変換ケーブル、2種のイヤーピースと、こちらも充実しています。

FIIO : 数千円で買えるドンシャリ・パンチ型
FIIO のエントリー有線イヤホンは、低価格帯でありながら明確に低音を主役に据えたチューニングが共通しています。深く沈むタイプというよりは、バスドラムのアタックとベースラインのパンチで押してくるタイプ。余韻が少なくキレよく切れていくため、量の割にもたつきません。
2本合わせても5,000円程度で揃うため、「低音の濃いイヤホンを試してみたいが、いきなり数万円は出せない」という方の最初の1本として最適です。今回の中では圧倒的にコスパが高いグループです。
FIIO JD10 : 1,760円で低域が主役になる、重心の低いドンシャリ

¥1,760(e☆イヤホン)/ 10mm ポリマー複合振動板 DD / 片側約3.7g
低音の強さ : ★★★★★★☆☆☆☆ (6/10)
3.5mm Ver. が税込 ¥1,760 という驚きの価格ながら、ハイレゾ認証取得・リケーブル対応(0.78mm 2Pin)・マイク付きリモコン搭載と機能面も充実した1本です。今回で最も安いモデルですが、低音の強さだけで見ればなかなかの実力です。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: 力強い低域です。パンチが強く適度な広がりもあります。ドラムのアタックやベースラインをしっかり鳴らし、躍動感があります。他と比較すると低域が全体の主役を担っているような印象で、どっしりとした重心低めのサウンドです。ただし沈み込みの深さで勝負するタイプではなく、あくまでパンチと打撃感が持ち味。余韻は控えめでスッとサッパリ切れていくため、量の割にもたつきもしません。
中域・ボーカル: この安さでは思いの外ちゃんとした解像度の高さです。ボーカルはクリアで輪郭もはっきりしています。ただし低域の存在感が強い分、ボーカルが若干埋もれがちになる場面はあります。
高域: カラッとドライな質感でキレよく鳴りますが、上への伸びはそこまで感じず高止まり感があります。
装着感: 片側約3.7gとかなり軽量。耳穴を塞ぐようにフィットするため遮音性も十分高く、長時間でも疲れにくいです。
音場: やや控えめです。タイトな空間ですので、広い空間表現を求める方には物足りないかもしれません。

FIIO JD1 : 「お祭りみたいな音」、賑やかで深いドンシャリ

¥3,300(e☆イヤホン)/ 10mm LCP(液晶ポリマー)振動板 DD / 24Ω
低音の強さ : ★★★★★★★☆☆☆ (7/10)
「安いのに音がいい」と SNS で話題になったエントリーモデルです。JD10 と同じ FIIO のドンシャリ系ですが、JD1 の方が低域はより深く、中域も前に出てきます。約4,000円以下でリケーブル(0.78mm 2pin)にも対応します。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: サウンドバランスは 低域 > 高域 > 中域 のドンシャリ傾向で、一番の個性は低域のパンチ感です。深くキレのある低音をしっかり鳴らし、ドラムやベースの存在感が際立ちます。SNSでは「お祭りみたいな音」と評されていました。確かにその通りで、賑やかで活気があり聴いていてテンションが上がる鳴り方です。JD10 と比べると沈み込みの深さが一段上で、下方向への深みが感じられます。
中域・ボーカル: 低域の強さに埋もれることなくしっかり前に出てきます。ボーカルも近めで、JD10 との最大の違いはここです。JD10 が低域一辺倒なのに対し、JD1 はボーカルもきちんと聴かせてくれます。
高域: 中低域と比べるとやや解像度が落ちる印象で、若干粗めに感じることもあります。
装着感: JD10同様、圧迫感少なめに耳へ入り込むタイプです。軽量で長時間装着にも向いています。
合うジャンル: ドラムとベースをしっかり楽しめるロック、男性ボーカル曲との相性が特に良好です。

Hi-Unit 有線ピヤホン : 重みとキレを両立したライブ感
凛として時雨のドラマー ピエール中野氏が監修する「ピヤホン」シリーズの有線モデルです。重みのある低音と高い解像度が同居しているのが一貫した特徴で、低域をしっかりと聴かせてくれますがボーカルも中高域も潰れません。ピエール中野氏らしく、ドラムのアタック感とベースラインの表現は特に気持ちよく鳴ります。
FIIO の2機種が「パンチで押す低音」だったのに対し、ピヤホンは**「重みと深さがありながらスパッとキレる低音」**です。ロック・メタルなど生楽器の迫力を存分に楽しむことができます。
有線ピヤホン3 (Hi-Unit 001-pnk) : プロユースにも使える、メリハリのある低域

¥41,800(e☆イヤホン)/ DD(ベリリウムコーティング振動板) / 片側14g
低音の強さ : ★★★★★★★☆☆☆ (7/10)
クラウドファンディングで1億円の支援を集めたシリーズの代表作で、プロのレコーディング用途にも使われている1本です。アルミ合金削り出しのハウジングは片側14gと程よい重量感があります。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: なかなかに重みと深さがありつつ、スパッとキレがあるのが持ち味です。ドラムのアタック感やベースラインをしっかり鳴らし、やや広がりを感じるもののだらしなく膨らむことはなくメリハリのある低音です。ロックを聴いたときのドラムとベースの存在感は特に気持ちよく、このイヤホンの持ち味が最も出るところです。低域が周囲を包むように広がるリアルな空間表現も特徴的です。
中域・ボーカル: 低域の存在感が強いため超近接という感じではありませんが、低域と同等の存在感でしっかり前に出てきます。クリアで息遣いや細かいニュアンスまで感じ取れ、男女問わず表現してくれます。
高域: 他の帯域と比べるとやや控えめですが、刺さることなくしっかり伸びやか。長時間試聴でも高域由来の疲れを感じにくいです。
装着感: シンプルで滑らかなカーブが耳に程よくフィットし、遮音性は抜群。モニターでも使えるほど、長時間でも疲れにくいです。
合うジャンル: ロック・ポップス・ジャズなど生の楽器音を楽しむジャンルとの相性が抜群。EDM などの電子音主体のジャンルでは持ち味がやや活かされにくい印象です。

有線ピヤホン5 (Hi-Unit 003-pnk) : 迫力と解像度が両立した、シリーズの最高到達点

¥57,200(e☆イヤホン)/ DD(デュアル磁気回路) / 18Ω
低音の強さ : ★★★★★★★★☆☆ (8/10)
有線ピヤホン3 の経験を活かし、デュアル磁気回路ダイナミックドライバーでシリーズ最高峰の音質を追求したモデルです。「まるでライブ会場にいるような立体感」というコンセプト通り、3よりもリスニングも楽しめるチューニングになっています。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: 最も特徴的なのは低音寄りのバランスで迫力があることです。有線ピヤホン3 でも低音のキレはありましたが、5 ではさらにパワーとキレが増しています。ドラムのアタック感、ベースラインがしっかり響き、余韻も低域だけやや多めです。そして重要なのは、この迫力と全体の解像度の高さが見事に共存している点です。低音が重すぎてボワつくことなく、中高域を損なわずに両立しています。空間的には低域が特に左右へ広がって展開し、中高域はむしろダイレクトに伝わってきます。
中域・ボーカル: 重めのバランスでありながら、女性・男性ボーカルどちらもしっかり楽しめます。ドラム・ベース・ボーカル・シンバル・ピアノそれぞれの存在感がくっきり描かれます。
高域: 下から上まで漏らさず鳴らす高解像度。有線ピヤホン3 よりさらに研ぎ澄まされています。シンバル・ハイハットの粒立ちも良く、刺さることなく伸びやかです。
装着感: 有線ピヤホン3同様、シンプルな形状ながら耳に程よくハマります。ハイブリッド型と比べると大きくないため、耳が小さめの方でも問題なく使えると思います。
イヤーピースによる変化: 付属のシリコンはスッキリ見通しよく、ウレタンは密閉度が上がり低音とボーカルがより濃くなります。低音を求めるならウレタンがおすすめです。
合うジャンル: ロック・メタルが最も得意。ギターの細かなピッキングも表現し、スタジオ音源・ライブ音源どちらも高解像度で楽しませてくれます。

AAW : 深く重厚、ライブ会場の空気ごと鳴らす低音
シンガポールの IEM ブランド AAW(Advanced AcousticWerkes)のZ06/Z07は、多ドライバーのハイブリッド構成で低域を専用ドライバーに任せるアプローチです。ここまでの6機種がシングルダイナミックだったのに対し、Z06 は2基のアイソバリックウーファー、Z07 は10mmチタンDDが低域を担当します。
その結果生まれるのが、量ではなく”深さと質感”で聴かせる低音です。ライブ会場で体に来るような空気の動きまで再現しようとするチューニングで、今回の中でも上位の重厚感を持つグループです。
AAW Z06 : 深く生々しくうねる、ライブライクな低域

¥48,400(e☆イヤホン)/ 2DD+4BA(3way / 6ドライバー) / 12Ω
低音の強さ : ★★★★★★★★☆☆ (8/10)
デュアルアイソバリックウーファー(2DD)+ BA4基による6ドライバー構成。独自の Bass-Flow Vent Pressure System が耳道内の気圧を均衡させながらウーファーへの気流を制御することで、量感とキレを両立しています。e☆イヤホン 有線イヤホン最強王者決定戦【ミドル級】優勝という実績も持つ1本です。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: 最初に耳を掴むのは、どっと押し寄せてくるような力強い低音です。ドラムの打撃やベースラインの深い沈み込みが、まるでライブ会場で感じるようなリアルさで迫ってきます。量が多いというよりも質感の良さ・上品さ・深みが特徴的で、ハイブリッド型ながらもこの低域の良さが個人的にも好みです。低域の残響がふわっと左右に広がるのも特徴です。
中域・ボーカル: 近めの定位で前に出て、滑らかで生々しく聴かせてくれます。低音に深みと特に男性ボーカルとの相性が際立ちます。
高域: しっかり鳴ってはいるものの、低域・ボーカルと比べると存在感はやや控えめです。全体として低音寄りのバランスです。
音の質感: 輪郭は鋭すぎず丸みを帯びた自然な質感。デジタルチックな硬さはなく、1音1音をくっきり聴きたい方よりも生々しいライブ感が好みの方向けですね。
装着感: Universal Fit ながら耳をしっかりとピタッと塞いでくれるため、高い遮音性と没入感があります。コンパクトなイヤホンを好む方には大きさが気になるかもしれません。
付属品: Null Audio「Epsilon Monocrystalline」UP-OCC 単結晶銅ケーブル(4.4mmバランス)、3種類のイヤーピースと充実しています。

AAW Z07 : 空気と残響をまとった、今回のハイブリッド最重量級

¥58,000(e☆イヤホン)/ 1DD+6BA(3way / 7ドライバー) / 12Ω
低音の強さ : ★★★★★★★★★☆ (9/10)
10mmチタンDD + BA6基の7ドライバー構成。チューブレス&フィルターフリー構造により位相整合と応答性を高めたモデルです。シャークフィン有り・無しのホルダーを交換できる FitMorph システムで装着スタイルを選べるのも独特です。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: どっしりとした深みと重厚感があり、かつその周りに空気の広がりを感じる独特のサウンドです。タイトな芯はありつつも、ライブ会場のような空気感・残響をまとった低音で、他のイヤホンとはひと味違います。量感は強めで、低音好きにも刺さる重厚感です。ライト志向の方には重く感じるでしょう。Z06 が「深く生々しくうねる」低音だとすれば、Z07 は「低く唸る空気ごと鳴らすような」低音です。余韻も低域だけ多めですが、引っ張りすぎずもたつきません。
中域・ボーカル: 重厚な低域に埋もれることなく、クリアに近い位置で聴こえます。バラードではボーカルの息遣いや生々しさが際立ちます。
高域: 他の帯域と比べると控えめです。突き抜けるような鋭さや煌びやかさはなく、最低限といったところです。刺さりは皆無ですが、高域の華やかさを求める方には物足りないかもしれません。
装着感: FitMorph でシャークフィン有り(安定重視)・無し(圧迫感軽減)を選べます。本体サイズ自体は大きくないため耳への圧迫感は少なめです。
合うジャンル: ロック、特にライブ音源との相性が抜群。オーケストラでもホールの空気感まで感じられます。一方、軽やかなポップスではやや重厚感が強く出ます。

intime 脂(KOTTERI) : 名前の通り”コッテリ”に振り切った低音超特化機
ここからが本記事の終着点です。intime と e☆イヤホンのはまちゃんが手がける「脂 (KOTTERI)」シリーズは、ただただコッテリな低音を出すイヤホンです。2022年にエイプリルフール企画として爆誕した初代から始まり、2024年に MarkII、2025年末に ALTERNATIVE と続いています。
メーカー自身が「音への脚色は非常に多い、ナチュラルなサウンドとはかけ離れた聴き心地」「がなるし、われるし、だれると思います。癖が強いです」と公言しているほどで、万能機を求める方が手を出すものではありません。ここまでの8機種が「低音も良いイヤホン」だったのに対し、この2機種は「低音のためのイヤホン」です。
なお、この2機種は個別レビュー記事がないため、本記事が初出になります。
intime 脂 (KOTTERI) MarkII -コッテリマシマシ- : 30Hz付近の厚みとサステインで殴られる(販売終了)

¥18,000(e☆イヤホン、販売終了)/ Diamond Coated DD + VST-R
低音の強さ : ★★★★★★★★★★ (10/10)
2022年の初代「脂 (KOTTERI)」のコンセプトを受け継いだ上位機種として、2024年にe☆イヤホン はまちゃんと intime のコラボレーション製品として限定販売されたモデルです。現在は販売終了しているため新品での入手はできませんが、筆者の「脂」との出会いとして今でも持っているのでご紹介します。
ドライバーはオーツェイド社新開発の Diamond Coated Dynamic Driver、ツイータは CRAZY RACCOON EARPHONE でも採用された VST-R。ジュラルミン製フロント筐体 + ABSリア筐体という構成で、ジュラルミン筐体の切削加工とアルマイト処理はすべて日本国内で行われています。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: 主役は30Hz付近の厚みとサステインの長さです。メーカーも周波数特性を照らし合わせて特に30Hz前後の低音の厚みを持たせたと明言しており、バスドラムのサスティンが深く、いかにも重い低音が体感できます。沈んだまま長く残るタイプで、低音の量で押されている感覚は本記事の中でも随一です。
中域・ボーカル: 低音と高音のメリハリがはっきりした構成のため、中域は相対的に引っ込みます。「サウンド・硬め / 迫力・濃い目 / 低音・多め」というコメントがそのまま当てはまります。
高域: VST-R を搭載したことで高調波歪が少なく、比較的聴き心地の良い高音です。長時間リスニングでも疲れにくい高域がスパイスとして効いており、ドンシャリのシャリ側を担当しています。
付属品: iSep01 イヤーピース(S / MS / M / L)、コードリール、布ポーチと充実しています。
intime 脂 (KOTTERI) ALTERNATIVE -コッテリ オルタナ- : 深く沈むのに輪郭が崩れない、12,000円の低音超特化機

¥12,000(e☆イヤホン)/ φ10mm ダイヤモンドコートDD + φ10mm セラミックツイータ / 22Ω
低音の強さ : ★★★★★★★★★★ (10/10)
「脂」シリーズ最新モデルにして、初めてエイプリルフール企画ではなく正式な製品企画として発売された1本です。φ10mmダイナミックドライバーの振動板表面に極薄のダイヤモンド蒸着コーティングを施し、ダイアフラムのたわみや偏振動を抑え込むことで低歪みかつ高レスポンスを実現しています。ツイータには、主役である重低音を邪魔しないようあえてパッシブ型のセラミックツイータが採用されています。フロント筐体には比較的柔らかめのジュラルミンを使い、内部共振をあえて活用して低音に厚みと膨らみを持たせるという、徹底して低音のためだけに設計された構成です。
こちらは音質イメージグラフです。
比較対象製品
周波数特性
音の質感
グレーの点線は標準的な音(全項目が中央)の波形です。
音質評価
凡例
低域: まさにコッテリです。ズシッと深く沈み込むのに、輪郭が崩れないのが ALTERNATIVE の真骨頂。量だけを見れば MarkII と同格ですが、ダイヤモンドコートの効果か、静けさの中から突然立ち上がるようなアタックの速さと、沈んでも滲まない輪郭を両立しています。MarkII が「沈んだまま長く残る」のに対し、**ALTERNATIVE は「深く沈んで速く戻る」**低音です。どちらが上というより、余韻の長さの好みで選ぶ関係ですね。低音特化機にありがちな「膨らんで他を飲み込む」感じよりも、深く速く、そして濃いという表現が近いです。重低音の量感とスピード感が同居しています。
中域・ボーカル: 低域が完全に主役のため、ボーカルは相対的に後ろに下がります。メーカー自身が「かなり低音が出ています。というか、わかりやすく言えばそれ以外が出ていません」と表現している通りで、ボーカルをじっくり聴くための製品ではありません。
高域: パッシブ型セラミックツイータにより、倍音控えめです。ハイハットやギターのエッジが重い低音の奥から自然に顔を出す、という鳴り方です。
装着感: 従来の intime 製品の形状がベース。付属イヤーピースは iSep01 が S / MS / M / L の4サイズ(デフォルト M)と、細かくサイズを選べます。密閉が取れないと低音が根本から出ないタイプなので、イヤーピース選びは特に重要です。
注意点: リケーブル非対応(2層導体構造同軸ケーブル・φ3.5mmステレオプラグ固定)です。またメーカーが公式に「ご購入の前には可能な限りご試聴ください」とアナウンスしているほど癖が強いので、可能なら試聴を強くおすすめします。
どの低音が欲しいかで選ぶ
予算で選ぶ
| 予算 | おすすめ製品 | 理由 |
|---|---|---|
| 〜2,000円 | FIIO JD10 | 1,760円で低域が主役になる重心低めのドンシャリ。まず低音の濃いイヤホンを試すなら |
| 〜4,000円 | FIIO JD1 | JD10より一段深く、ボーカルも埋もれない。2本合わせても5,000円 |
| 〜12,000円 | intime 脂 KOTTERI ALTERNATIVE | 低音の量だけなら本記事の頂点がこの価格。ただし癖は極めて強い |
| 〜42,000円 | Hi-Unit 有線ピヤホン3 | 重みとキレを両立、ボーカルも潰れない万能寄りの低音 |
| 〜50,000円 | AAW Z06 / NUARL NX1 Chapter2 | 深い低音の質感を求めるなら Z06、ノズルで振り幅が欲しいなら NX1 Chapter2 |
| 〜58,000円 | AAW Z07 / Hi-Unit 有線ピヤホン5 | 空気感まで欲しいなら Z07、解像度と迫力の両立なら有線ピヤホン5 |
低音のタイプで選ぶ
深く沈む重低音が欲しい → intime 脂 KOTTERI ALTERNATIVE / AAW Z07 サブベースまでズシッと沈み込むタイプ。ALTERNATIVE は沈んでも輪郭が崩れず、Z07 は沈んだ低音の周りに空気の広がりが生まれます。
低音の量で押されたい・余韻が長い方が好き → intime 脂 KOTTERI MarkII 30Hz付近の厚みとサステインの長さが持ち味。バスドラムの余韻が深く長く残ります。
キレ重視、もたつかない低音がいい → Hi-Unit 有線ピヤホン3 / 有線ピヤホン5 重みと深さがありながらスパッと切れる低音。だらしなく膨らまず、中高域も潰れません。
パンチ・アタック感重視 → FIIO JD10 / FIIO JD1 沈み込みよりも打撃感で押すタイプ。余韻が少なくキレよく切れていくため、量の割に軽快です。
質感・生々しさで聴かせる低音 → AAW Z06 量ではなく深みとリアルさが際立つタイプ。ライブ会場で体に来るような鳴り方をします。
自分で低音の量を調整したい → NUARL NX1 Chapter2 / NUARL Overture ノズル交換で低域を可変できます。振り幅の大きさなら NX1 Chapter2(約8dB)、細かい微調整なら Overture(3dB刻み・8本)。
ジャンルで選ぶ
| ジャンル | おすすめ |
|---|---|
| ロック・メタル | Hi-Unit 有線ピヤホン5、Hi-Unit 有線ピヤホン3、AAW Z07 |
| EDM・ヒップホップ・ベースミュージック | intime 脂 KOTTERI ALTERNATIVE、intime 脂 KOTTERI MarkII、FIIO JD1 |
| J-POP・ポップス | NUARL NX1 Chapter2(グリーンノズル)、FIIO JD1 |
| ライブ音源・ジャズ・クラシック | AAW Z07、AAW Z06 |
| 男性ボーカル | AAW Z06、FIIO JD1 |
| 音数の多い曲を低音込みで整理して聴きたい | NUARL Overture、NUARL NX1 Chapter2 |
低音が濃い有線イヤホン10選 まとめ
10本を低音の弱い順に並べてみると、「低音が強い」という中にもそれぞれ個性・違いがありました。ノズルで調整できる NUARL、パンチで押す FIIO、重みとキレを両立する Hi-Unit、深さと空気感の AAW、そして低音のためだけに存在する intime。同じ低音でも個性豊かです。
- まず低音の濃さを安く試したい → FIIO JD10 / FIIO JD1
- 低音は欲しいがボーカルも解像度も捨てたくない → Hi-Unit 有線ピヤホン3 / 有線ピヤホン5
- ライブ会場の空気感ごと欲しい → AAW Z06 / AAW Z07
- 曲やジャンルに応じて低音の量を変えたい → NUARL NX1 Chapter2 / NUARL Overture
- 理性を捨てて低音に殴られたい → intime 脂 KOTTERI ALTERNATIVE / MarkII
低音特化のイヤホンは、合う人には強烈に刺さる一方で、合わない人にはとことん合わないでしょう。特に intime 脂シリーズはメーカー自身が試聴を推奨しているほどです。ぜひご自身の聴くジャンルと、欲しい低音の”質”に合わせて選んでみてください。もちろん、今回紹介したもの以外にも低音特化のイヤホンは多々ありますので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。
各製品の詳細レビューもあわせてご覧ください。








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