こんにちは ! 今回は FIIO BTR17 の購入使用レビューです。BTR17はFIIOの最新 Bluetooth DAC です。これまでのBTR7, BTR13 も使い勝手の良さ・音質の良さで話題になっていますが、さらに上位に当たるのが今のBTR17です。私もワイヤレス DACは常々欲しいと思いつつも悩みに悩みBTR17を購入しました。結論、満足しています。ぜひ最後までご覧ください !
(2025/01/06 FW update V0.6.2 の機能追加・不具合修正について追記しました。)
本サイトでレビューしている他のFIIO製品はこちらです。
FIIO BTR17 おすすめポイント
- コンパクトな金属ボディ
- 有線でも無線でも情報量の多く重厚なサウンド
- デスクトップモードでさらにパワフル&繊細なサウンドに
- LDAC/AptX Adaptive/LC3とあらゆるコーデックに対応
- 細かな10バンドイコライザー
FIIO BTR17 製品情報
BTR7の後継機種となる最新フラッグシップBluetoothアンプ。aptX Lossless対応、THX AAA 78+アンプ搭載、最大650mWの出力とバージョンアップ
主な特徴
- QCC5181搭載による最新鋭のワイヤレス性能でロスレスオーディオにも対応
- 外部独立電源接続用ポートにより安全かつ効率的な電源供給を実現
- 多彩な接続性と最適な電源供給を誇る3モード
- XMOS 16コア「XU316」の卓越した性能
- 詳細な音質調整を可能にする10バンドの高精細ロスレスPEQを搭載
- デュアル「ES9069Q」DACによる高品位な音質再現
- 「THX AAA 78+」アンプによる強力な出力と優れた音質
- ハイエンド相当の信号処理
- 高音質かつクリーンにこだわった精密な電源設計
- 優れたインターフェイスと高品位な立体彫刻加工
- 高品質な8芯特製ケーブルを付属
- さらなる使い方が広がる、様々な機能と付属品
- 使用感にこだわったホイールとボタンコントロール
主な仕様
FIIO Japan https://www.fiio.jp/products/btr17/ より
項目 仕様 USBインターフェースチップ XMOS XU316 USB DAC PCM 768kHz/32bit、DSD512(Native)、MQAフルデコード対応 USB DAC動作モード ・USB Audio Class 1.0モード(ドライバー不要)
・USB Audio Class 2.0モード(ドライバーインストールが必要、フルスペック再生可能)Bluetoothチップ QCC5181 Bluetoothバージョン 5.4 対応Bluetoothコーデック AAC/SBC/aptX/aptX Adaptive/aptX Lossless/aptX HD/LDAC DACチップ ES9069Q×2 ディスプレイ 1.3インチ、40×240ピクセル、IPSパネル 連続再生時間 約8時間(LDAC使用時) 充電時間 約2時間 シングルエンド出力 280mW (32Ω、THD+N<1%) バランス出力 650mW (32Ω、THD+N<1%) 周波数特性 20Hz~80kHz(<3dB) S/N比 ≥126dB(USB入力時、デスクトップモード、A特性) THD+N <0.00035%(USB入力時、デスクトップモード、バランス出力) サイズ 約16.3×41.2×86.6mm 重量 約73.4 g 付属品 専用レザーケース、USB Type-C to Type-C ショートケーブル、クイックスタートガイド、PET保護フィルム(貼付済)
のちに記載しますが、Bluetooth LEAudio にも対応しており、コーデックは LC3 にも対応しています。
ギャラリー
(FIIO BTR17は本体の機能が多く、長めの説明になっています。)
(スクリーン・アプリ画面はFW versionによって変わる可能性があります。)
本体
Blue と Black の2色ありますが、Blueを購入しました。
主な付属品はこちらです。
- 本体
- レザーケース
- USB C to C ケーブル
- PET保護フィルム(本体ディスプレイに貼付済)
- 他、クイックスタートガイド等紙類
本体は金属製で角張ったデザインです。クールで無骨なデザインでかっこいいですね(とはいってもレザーケースに入れるのですが)。
箱を開けたらフィルムは既に貼り付け済みでした。どうせ貼るので助かりますね。また、レザーケースも付属しているもの助かります。
USBケーブルは短めでスマホやPCの側に置いておくくらいの最低限の長さですね。もっと長い方がよければ他のケーブルが必要になります。ちなみに8芯ですが6芯と2芯で用途が別れています。
卓越した伝送能力を実現 – 電源/データ用に特製8芯構成ケーブルを標準装備
- アナログ電流伝送用:単結晶銅導体6芯 – より充実した伝送能力とピュアな音質を実現
- デジタル信号伝送用:単結晶銅銀メッキ導体2芯 – データ伝送の正確性と高い安定性を確保
※このケーブルは本製品専用のため、他の機器の充電やデータ転送にはご使用いただけない場合がございます。
FIIO Japan https://www.fiio.jp/products/btr17/ より
本体底面にUSBは2つあり、データ転送+電源用ポート(USB)と電源専用ポート(POWER IN)があります。電源供給を専用に設けるというこだわりっぷりです。このPOWER IN端子はのちのデスクトップモードを有効にするために接続が必要です。
右側面には各種ボタン類があります。
- ボリュームノブ
- 回転で音量調整・メニュー選択
- 短押しで再生・一時停止・受話・終話・呼出キャンセル・メニュー決定・Bluetooth再接続
- 2秒押しでメニュー画面へ・着信拒否・音声アシスタント起動
- マイク
- 電源ボタン
- 短押しで画面ON/OFF
- 長押しで電源ON/OFF
- 曲戻しボタン
- 短押しで曲戻し
- 2回押しでEQ切替
- 曲送りボタン
- 短押しで曲送り
- 2回押しでEQ切替
- 5秒押しで強制ペアリング
- モード切替スイッチ
- PCモード
- USB DAC で接続(USB給電しながら)
- BTモード
- Bluetoothで接続(USB給電しながらでもBluetooth接続可能)
- PHONEモード
- USB DAC で接続(USB給電しない)
- D.MODEスイッチ
- デスクトップモードのON/OFFの切替をします。ただし、デスクトップモードはPOWER IN端子に接続があり、かつD.MODEスイッチがONの場合に有効になります。(使ってみるとどのモードでもPOWER IN端子から給電されていればデスクトップモードは有効になりました)
- D.MODEスイッチをONにするとUSB給電は無効になります。
- 参考 : FIIO BTR17のD.MODEスイッチとデスクトップモードの説明
- PCモード
といったように、これらのボタンであらゆる操作が行えます。
ちなみにD.MODEスイッチをONにした時、デスクトップモードが有効になったのかなっていないのかは上記の表示でわかります。
実はマイクも搭載しており、これで通話もできます。
音量調整はスマホ・PCとは非連動でBTR17内部に保存されます。接続先の音量よりも細かく調整できるのはいいですね。
左側面にはボタン類はなく、各種ロゴ等があるのみです。
上部にはプラグ類があります。もちろん3.5mmアンバランス・4.4mmバランスどちらも対応しています。
裏面だけはレザーで覆われており、サラサラ・柔らかな肌触りです。
ケースに入れるとこのようになります。ボタン・端子類はそのまま使えます。ケース裏にはクリップ、側面にはストラップホールがあるのでベルト等に装着することもできます。
成人男性が持つとこんなサイズ感です。多機能ですがサッと片手で操作できるほどのコンパクトさに収まっています。
ディスプレイは1.3インチと小さいですが40×240ピクセルのIPSパネルでしっかり見やすくカラー表示してくれます。画像はそれぞれ再生時のディスプレイを撮ってみたものです。Bluetoothコーデックは8種、USB DACとしてはPCM、DSDともに対応しています。(画像にはありませんがMQA再生時にはMQAと表示されます。)ディスプレイ上には以下が表示されます。
- 左上には音量、デスクトップモード有効時には追加のマークが表示されます。
- 左上にはバッテリー残量
- 中央は上からイコライザー、コーデック、サンプリング周波数、Quality(PQ(Popular Quality), HQ(High Quality),SQ(Super Quality),HR(High Resolution))
- 左下には現在のモード(PCモード or BTモード or PHONEモード)
- 右下にはゲイン(High or Low)
このほかにもペアリング中や接続時、充電中といった状態に応じてそれぞれ表示が変わります。
本体メニューで設定できる項目もやたらと多いです。
FIIO BTR17のメニュー、ボタン、ポートの紹介
この中でもCHG protection は初期設定ではOFFですがONにしておいた方が良いですね。充電保護で80%を上限に充電停止する機能です。使える時間は減ってしまうのですがバッテリー寿命を伸ばすためにはONにしておくと良いでしょう。
FIIO Control アプリ
他のFIIO製品同様、スマホアプリ FIIO Control で各種設定が行えます。
FIIO Control アプリはBluetooth接続時もUSB接続時も使用可能です。こちらも設定できることが多いです。特にイコライザーは10バンドでプリセットの7種に加えてカスタムで10種も登録できます。周波数ごとに細かく設定できるのに加えて他のユーザのものをダウンロードすることもできます。いじり出すとキリがないですが、とことんこだわることができます。
(追記) FW update V0.6.2 の機能追加・不具合修正
発売後のFW update V0.6.2 で以下が追加・修正されました。
- ボリュームステップが 60段階 と 120段階から選べるようになりました。
- 曲戻しボタン、曲送りボタンそれぞれ機能を変更できるようになりました。
- 曲戻しボタン単押し・2回押しを 音量上げ or 曲戻し or イコライザー変更
- 曲送りボタン単押し・2回押しを 音量下げ or 曲送り or イコライザー変更
- 本体スクリーンを4方向に回転できるようになりました。
- PCモード、BTモードでかつ USB データポートのみに接続がある場合でもデスクトップモードが有効になるようになりました。
- 本体のメニューのみで設定できていた項目についてFIIO Control アプリで設定できる項目が増えました。(e.x. ゲイン, デジタルフィルター)
- 本体メニュー画面のUIを更新
- そのほか不具合修正
詳細は以下 X ポストより
The new Bluetooth firmware V0.62 for BTR17 is now available!
— FIIO (@FIIO_official) January 6, 2025
BTR17 firmware download link: https://t.co/LPQBjCdXNm
How to update the Bluetooth firmware for BTR17: https://t.co/Icf0cTOWuI pic.twitter.com/tdwSeVdFys
画面回転と120段階のボリュームステップが大きいですね。より使いやすくなりました。横方向にするとプレイヤー感が出ていいですね。
レビュー
プレイヤーは Xperia 1 VI を使っています。
イヤホンは以下3つで聴いています。
- 有線ピヤホン5 (Hi-Unit 003-pnk)
- 水月雨(MOONDROP) 星光 – Star Light
- Maestraudio MA910SR DC
MA910SR DC も購入して聴いています。のちにレビュー投稿予定です。
使用感 : キビキビ・スムーズな動作で良好
Bluetoothでの使用もUSBでの使用も特に不便なく使えています。(環境や接続相手にもよりますが)Bluetooth接続は電源オフ状態からPOWERボタンを押し始めて10秒しないうちに接続完了します。聴きたい時にさっと再生開始できますね。各操作も機敏に反応してくれて特に戸惑うことはありませんでした。Bluetooth接続でもUSB接続でも同じように再生制御やボリューム操作ができています。ボリュームノブの操作もスムーズでノイズもなく細かく音量調整できます。
使い勝手で不満を強いてあげるとすれば(安全のためだとは思いますが)ボリューム操作が画面OFF時には効かないという点ですね。画面OFF時にホイールを回しても最初はボリュームが変わらず、画面が点灯した後にボリューム操作が反映されます。のでボリュームをいじる際に若干のタイムラグを感じます。
もう一点、LEAudio LC3を無効にできないのも不便かなと思います。こちらのXperia 1VI は LEAudioをデバイスごとに有効・無効にできるので問題はありません。ですがSNSを見ていると接続先によってはLEAudio固定になってしまう場合もあるようで、LDACもAptX Adaptiveも使えない状況なってしまうようです。FIIO ControlアプリでLEAudioを無効にできるよう追加してほしいですね。
とは言ってもこれといった不満なく他には特に問題なく使えています。
音質
(イコライザー・フィルターはデフォルト設定)
個人的な音質イメージはこちらです。
Bluetooth接続での音質 : 厚みのある中低域で荘厳な雰囲気
まずは Bluetooth 接続での音質の印象です。やや中低域に厚みがあるもののイヤホンの特徴を活かすような素直なバランス・ワイヤレスでも解像度高く濃い音・広く壮大な中低域が印象的です。
一聴してまず驚いたのは解像度の高さと中低域の厚みです。購入して最初、Bluetooth接続して聴いてみたら想像よりもやたらと音が濃いんですよね。もちろんDAPで有線接続している時よりかは情報量・解像度は落ちるもののワイヤレスでは十分すぎるほどの情報量が流れてきました。
バランスとしては中低域にやや厚みと広がりがあり、荘厳な雰囲気を感じさせます。ただし大きな偏りではないので元々のイヤホンの特性は活かされています。今回聴いたイヤホンの中では有線ピヤホン5と水月雨(MOONDROP) 星光 – Star Lightが元々低域にパンチがあるのですが、さらにそのパンチが強まりエネルギッシュなサウンドになります。高域もしっかりとあり、Maestraudio MA910SR DC の中高域の伸びやかさもしっかり活かされています。
空間の広さもしっかりあります。特に中低域に広がりがありますね。下から支えるような厚い広がりです。高域も伸びやかですが広がりはそこまではなく、ほどほどといった印象です。
余韻もそこそこあり、音数の多い曲だともうちょい分離感・解像度が欲しいところです。USB接続だとそこは変わってくるので続けて記載します。
USB接続での音質 : 伸びやかな中高域でカラッとキレのあるサウンド
続いてUSB接続での音質の印象です。Bluetooth接続と音のバランスとしては同じで中低域に厚み・広がりがあります。ですがUSB接続ではさらに全体の解像度が上がり、音粒の輪郭がさらにキリッとしてきました。特に高域の解像度や伸び・広がりがグッと高まり、Bluetooth接続時では重厚な雰囲気だったのがUSB接続ではカラッと明るい雰囲気になりますね。ギター・シンバルの解像度も高まりスパッと気持ちよく聴くことができます。ここで水月雨(MOONDROP) 星光 – Star Lightの中高域の伸びが活きてきました。輪郭もはっきりとしているのでBluetooth接続時よりもさらに1音1音を細かく鳴らしてくれますね。
USB接続デスクトップモードでの音質 : よりパワフルに・より艶やかに
USB給電をしながらデスクトップモードをONにするとさらに全体の情報量・音粒の存在感が高まります。単純に音圧が上がるのはそうですが、これまで埋もれていた細かな音も出てくるようでドバッと情報が増えました。同じ曲を聴いていてもデスクトップモードではサウンドはより重厚に・濃厚になります。
帯域ごとのバランスで言うと低域がさらに強まりました。中高域も強まりますがそれ以上に低域のパンチが強まり、全体的にはまた重厚な雰囲気に寄ったようです。
音粒の輪郭ははっきりしつつもその周辺の余韻が少し増え、生の空気感・ボーカルの艶やかさ・リアルさが高まります。Maestraudio MA910SR DCで聴く女性ボーカルはさらに近づきよりリアルに聴くことができます。デスクトップモードをONにすると、一見荒々しくなったかと思いきや、よく聴くと繊細な音が流れてくるようです。
情報量が増えた分、仰々しいというか聞き疲れしやすいかなとも思いました。インピーダンスの高いヘッドホンを鳴らすといったことには向くと思いますが、そうでなければデスクトップモードはOFFでも良いと思います。
各モードで違いはありつつも、コンパクトなボディからは想像以上にパワフル&繊細なサウンドを鳴らしてくれます。手持ちのイヤホン・ヘッドホンの特徴を活かしつつもお手軽に濃厚な音を聴かせてくれる、そんなDACだと思いました。
FIIO BTR17 まとめ
さすがFIIOといったところでしょうか、機能面・サウンドともに抜かりないですね。無線でも有線でも上質なサウンドを聴かせてくれます。ぜひ一度試してみていただきたいです。
それではまた次の記事で !