こんにちは ! 今回は 株式会社伊藤屋国際様 より提供いただいたNF ACOUS NM20のレビューです。(NF ACOUS は旧 NF Audioからブランド名が変更されました。) NF ACOUS(旧 NF Audio)は本サイトでは2つ目のレビューです。今回もまた個性的なイヤホンです。ぜひ最後までご覧ください。
本サイトでレビューしている NF ACOUS 製品はこちらです。
おすすめポイント
NF ACOUS NM20
- 片側4gと軽量で程よくフィットする装着感
- 高い解像度・分離感、輪郭がはっきりした音粒で偏りなくダイレクトに鳴らすモニタリング向きなサウンド
- リケーブル対応(0.78mm 2pin)
製品情報
世界累計販売台数10万台を超えた「NM2」から受け継ぐ遺伝子
アップグレードされたダイナミックドライバーMC2L-100P
「NM20」に新たに搭載されたMC2L-100Pダイナミックユニットは「NM2」に搭載されたMC2L-10と比べ、やや軽量で剛性の高いベリリウムメッキ振動板を採用。磁束密度1テスラを超える強力なデュアル磁気回路と組み合わさることでニュートラルな音色を維持しながらも、より伸びやかでディテール感豊かなサウンドを実現しています。音響キャビティ構造の包括的なアップグレード
アルミフレームで高級感も追加、再設計されたシェルデザイン
人間工学に基づき開発されたフィット感に優れたハウジング
どこでもあなたのステージに。最大-25dBの高い遮音性
3.5mm-6.35mm プレミアムアダプタ付属
バリスティックナイロン製ハードケース
主な仕様
伊藤屋国際 https://www.itohya.jp/pages/nm20 より
ドライバー MC2L-100P ダイナミックドライバー 再生周波数帯域 9Hz~40,000Hz インピーダンス 32Ω 感度 125dB ハウジング素材 高強度ポリカーボネート ケーブル 5NシルバーコートOFCケーブル(0.78mm 2Pin) ケーブル長 約1.3m プラグ φ3.5mm
ギャラリー
NF ACOUS NM20 はクリアブルー・クリアピング・クリアグレーの3色がありますが今回はクリアグレーを提供いただきました。
付属品はこちらです。
- 本体
- ケーブル (0.78mm 2pin – 3.5mmアンバランス)
- 3.5mm-6.35mm プレミアムアダプタ
- MS42 シリコンイヤーチップ (4サイズ)
- ケース
- 他紙類
6.35mm アダプターが付属しているのが特徴的です。有線イヤホンではそう多くないですね。後に書く音質の特徴もそうですが、モニタリング・調整でも使うことを想定しているようです。アンプにも使えますね。
前回の RA15 のポーチと比べるとケースはハードケースになり、持ち運びしやすくなりました。
イヤーピースは RA15 に付属していたものと同じです。背は低め・軸は硬め・傘は柔らかめでしっとりとしたものです。付属品でよくあるものより使いやすいですね。
ケーブルは5NシルバーコートOFCケーブルです。細めですが柔らかめでしなやかで扱いやすいです。
こちらが本体です。3色とも半透明のボディで中の構造が見えるのは良いですね。(スケルトンカラー、いいですよね。) 高強度ポリカーボネート製ですがノングレア加工されていますので指紋が目立たないです。周りはアルミフレームで囲まれています。強度を高めるとともに輪郭を際立たせられています。
ボディも同じように高強度ポリカーボネート製のスケルトンボディです。持ってみると非常に軽いですね。(計測したところ、片側 4g (片側のみ(ケーブル・イヤーピースなし)) でした。)
ケーブル接続は0.78mm の qdc 2pinです。
レビュー
(プレイヤーはNW-WM1AM2、ケーブル・イヤーピースは付属のものを使用。)
装着感
コンパクトな本体が耳にフィットしてくれます。装着感は非常に良いですね ! 大きすぎなず耳を圧迫しすぎず、でも隙間なくフィットします。かなり奥まで入るので耳からの飛び出しも少なく、耳との一体感がありますね。本体が軽いこともあり、長時間つけていても疲れにくいですね。遮音性も高いです。音漏れも問題ないですね。
音質
非常に高い解像度、分離感・ドライでクリアな音粒・偏り、余韻が少ない、切れ味鋭くクリアな空間・味付けの少ないフラットなバランスが印象的です。
まずは解像度の高さに驚きました。一切の曇りなく、スパスパと音を鳴らしていくようです。これまで聴いた中だと DUNU HAYABUSA ULTRA(レビューはこちら) を思い出しました。それよりも半分ほどの価格ですが解像度・分離感は肉薄しています。レスポンスよくノリよく聴けますね。特にボーカルやドラム・シンバル・ハイハットといったリズム隊をリズミカルに・リアルに聴くことができます。
解像度・分離感の高さもあるのですが余韻が少ないのも特徴的です。必要最低限に、音源そのままに余韻はなく、サッと鳴り終わります。切れ味鋭いです。そのおかげが音数多い場面でもスパスパと聞き分けがしやすいです。ここまで振り切っているのはなかなかないですね。最初に聴いた時は驚きましたが、これはこれで個性があって良いです。
帯域ごとのバランスとしても大きな偏りなくそのままに鳴らしてくれます。強いて言えば高域が強めでシンバルのシャキッとした音が目立つかなくらいです。(ただし鋭さのあまり高域に荒さがあるかなと思う場面も少しありました。)これまで書いた特徴も合わさることで音源そのままの味をダイレクトに伝えてくるようなサウンドになっています。好みによっては味気ないとかあっさりだとかも言われるとは思いますが、モニタリング的に聴くにはいいですね。
空間の広さは標準的かなと思いました。余韻が少なめなこともあり、そこもまた広げることもなく音源を誇張することなくそのままの空間で鳴らすような印象です。
音粒のキレが良いことから、ギターサウンド、特にアコースティックギターが特に相性が良いと思いました。弦を弾くさまが細かく聴き取れます。ロック・メタル等をモニタリング的に聴くのにいいですね。女性ボーカルだと高音がきついかなと思う場面もあり、どちらかというと男性ボーカルの方が相性が良いと思います。
素材の味を楽しめ ! と言わんばかりにダイレクトに鳴らしてくるイヤホンだと思いました。さまざまなイヤホンを聴いたのちにこれを聴くと妙に癖になる音だと思います。
イヤーピース・リケーブル例
今回のNF ACOUS NM20は本体が味付けが少ない分、リケーブルやイヤーピースの変化を感じやすいです。カスタマイズのしがいのあるイヤホンです。ここではより聴きやすくなるようなリケーブル・イヤーピースの例です。
リケーブルは SoundsGood BlueFlame にしました。ここ最近数々のケーブルをリリースしているSoundsGood の中でもBlueFlameは特に人気があり、最初の1本にもおすすめされているケーブルです。やや中低域を強めつつキリッと輪郭を際立たせてくれるケーブルです。端子も2pin/MMCX/qdc 2Pin/PentaconnEarロング(ゼンハイザーIEシリーズ対応)と、豊富な中から選択できます。BlueFlameの名の通りの美麗な外観もポイントです。
SoundsGoodのケーブルについては以下の記事で紹介していますのでこちらも参考にどうぞ。
イヤーピースは 日本ディックス Pentaconn COREIR AL ALLOY にしました。言わすと知れた金属コアを内蔵したイヤーピース、COREIR(コレイル)のアルミ合金を採用した第2弾です。サウンドの解像度をキープしつつも、重心を下げて落ち着きが出ます。NM20をより聴きやすくしてくれます。
NF ACOUS RA15、AZLA HORIZON II との比較
今回は同じ NF ACOUS RA15 と、価格の近い AZLA HORIZON II との比較です。それぞれのレビューはこちらです。
NF ACOUS NM20 | NF ACOUS (NF Audio) RA15 | AZLA HORIZON II | |
---|---|---|---|
ドライバー構成 | MC2L-100P ダイナミックドライバー(ベリリウムメッキ振動板) | 10mmダイナミックドライバー (MC2L-10M) | ダイナミック型(ベリリウムコーティング10mm径シングルフルレンジ) |
インピーダンス | 32Ω | 32Ω | 17.7Ω(±10%@1KHz) |
音圧感度 | 125dB | 108dB/mw | 107 dB SPL/mW(@1KHz) |
再生周波数帯域 | 9Hz ~ 40KHz | 10-40,000Hz | 10 – 40,000 Hz |
参考価格(eイヤホン 2024/11/07現在) | ¥17,800 税込 | ¥13,800 税込 | ¥17,820 税込 |
3つともダイナミックドライバー1基のイヤホンです。インピーダンスがHORIZONⅡだけ小さめですね。実は NM20 と HORIZON II はどちらもベリリウムを採用しているという共通点があります。
イヤホン本体のサイズは RA15 < NM20 < HORIZONⅡです。NF ACOUS のイヤホンは他のイヤホンと比較してもとにかく小さめで耳が小さくても装着しやすい、耳との一体感が高いのがGoodポイントです。さらに重さは NM20 が最軽量です(NM20 4g、RA15 9g、 HORIZONⅡ 9g)。
音の印象ですが、まず大きな違いは NF ACOUS の NM20、RA15はクール・スッキリな傾向で、AZLA HORIZON II は温かみのあるウォームな傾向です。NF ACOUS は基本的にはキリッと鋭さがあり、HORIZON II の音粒は滑らかです。さらに NG ACOUS の中でも今回の NM20 はさらに鋭さに磨きがかかり、それぞれの音粒の輪郭がよりはっきりしています。削ぎ落とされた・研ぎ澄まされたようなサウンドですね。個人的にはこれくらい振り切っている方が個性があって好みです。そのおかげか、NM20はこの中でモニタリングとして細かく聴くのに一番いいですね。
帯域のバランスとしては RA15(BRIGHTノズル)はやや高域強め、AZLA HORIZON II はやや低域よりの中で今回のNM20はその真ん中を行くようなバランスに感じました。やはり音源をそのまま楽しめと言わんばかりにダイレクトに鳴らすようなイヤホンです。純粋な楽しさ・聴きやすい音でいうと AZLA HORIZON II が良いかと思ってしまいますが、それとは別に分析的に聴く用として NF ACOUS NM20 は持っておきたいと思えるイヤホンです。
他の味付けに惑わされない、個性がないように見えて逆に個性があるようなイヤホンではないでしょうか。
まとめ
これまでクリア・ドライなイヤホンはちらほら聴いてきましたが、ここまでダイレクトに来るものは初めてかもしれません。モニタリング用に1本もよし、カスタマイズを楽しむ用として1本もよしな面白いイヤホンと思います。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
それではまた次の記事で !