こんにちは ! 今回は 株式会社伊藤屋国際様 より提供いただいた、SUPERTFZ DECO.5 のレビューです。またまた SUPERTFZ の記事になるのですが、前回の AQUARIUS と同日発売され、共に提供いただいた製品です。SUPERTFZ から ついにUSB DACが登場しました ! 本サイトでもUSB DAC はいくつかレビューしていますが SUPERTFZ は初めてになります。SUPERTFZ のイヤホンは度々視聴・レビューしてきましたが、果たして USB DAC はどんなものか、最後までぜひご覧ください。
本サイトでレビューしている SUPERTFZ 製品はこちら。
おすすめポイント

SUPERTFZ DECO.5
- 高い放熱効率、軽い本体
- ノイズレス、艶のある麗しい音粒、パンチのある低音
- 独立したボリューム操作、ゲイン切替、デジタルフィルター切替、UAC1.0切替対応
- 3.5mm/4.4mm両対応
製品情報
「DECO.5」の特長
- 米Cirrus Logic社製DACチップCS43198をデュアル搭載
- 3.5mmアンバランスと4.4mmバランス出力端子を搭載
- Type-C入力でPCM768kHz/32bit、DSD256の再生に対応
- ハイゲインモード/ローゲインモードの切り替えが可能
- ボリューム調整用の物理ボタンを搭載
- CNC切削加工された航空グレードアルミニウム合金筐体採用
高性能チップ搭載で小型でも驚くほどの高音質
3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの二つの出力端子
エントリークラスでありながら極めて低いノイズを実現
美しさと堅牢性を備えたアルミ合金筐体にはボリュームボタン
交換可能なケーブルで様々なデバイスと接続が可能
USB Audio Class 1.0と2.0に両対応
主な仕様
伊藤屋国際 https://www.itohya.jp/pages/deco5 より
- DACチップ
CS43198 x2- 電源
USBバスパワー- USB Audio Class
UAC1.0 / UAC2.0- 入力端子
USB Type-C- 出力端子
3.5mmシングルエンド / 4.4mmバランス- シングルエンド最大 出力
140mW(16Ω、THD+N≦1%)
125mW(32Ω、THD+N≦1%)- バランス最大出力
150mW(16Ω、THD+N≦1%)
240mW(32Ω、THD+N≦1%)- THD+N
600Ω、0dB:-112±2dB(シングルエンド)-114±2dB (バランス)
32Ω、100mW:-108±2dB(シングルエンド)-106±2dB (バランス)- 周波数応答
20Hz-80kHz(-0.5dB)- S/N比
125dB (シングルエンド)
130dB (バランス)- ダイナミックレンジ
125dB (シングルエンド)
130dB (バランス)- ノイズフロア
<1.0uV(シングルエンド)
<1.5uV(バランス)- 対応サンプリングレート
PCM:768kHz / 32bit
DSD:256(DoP)- サイズ
52mm x 19mm x 11mm- 重量
約16g(本体のみ)
DAC chip は CS43198 を2基搭載しています。
CS43198 を採用しているDACというのは他のも多々あります。例えば、
- Astell&Kern AK HC2
- FIIO KA5
- AFUL SnowyNight
- SHANLING H2
- 水月雨 (MOONDROP) MOONRIVER2-Ti
- aune audio YUKI
- SIMGOT DEW4X
- DUNU-TOPSOUND DTC480
- …
といったように各メーカー・ブランドで発売されています。
独立したボリューム操作、ハイゲイン・ローゲイン、UAC1.0 と基本的な機能は揃えてありますね。
ノイズに関してものちに比較しますが、確かに値としては小さいです。

ギャラリー

付属品はこちらです。
- DECO.5 本体
- USB Type C to C ケーブル
- ポーチ
- クロス
- 説明書、紙類
前回の SUPERTFZ AQUARIUS と同様、ティファニーブルーのポーチとクロスが付属しています。こちらもまた鮮やかですね。
ケーブルは Type C ですので、PC等のUSB Type A や、iOS機器の Lightning端子に接続するには別途アダプターかケーブルが必要になります。

こちらが本体正面です。本体は航空グレードアルミニウム合金ということで、軽さと堅牢性を備えています。サラサラとした質感で指紋が目立ちにくいですね。


スリットのような部分は内部のLEDが漏れ出すようになっており、画像のように、再生するフォーマットによって色が変わります。また、後述する操作時にも点滅します。

ボタンは + ボタンと – ボタンの2つのみがあります。このボタンで以下の各種操作を行うことができます。
- + でボリュームアップ、- でボリュームダウン (プレイヤーとは非連動で60段階、切断後も記憶される)
- 長押して連続アップ・ダウンも可
- 最大、最低になるとLED 2回点滅
- +/- 同時短押し で ローゲイン・ハイゲイン切替 (切断後も記憶される)
- (LED 1回点滅) ローゲイン
- (LED 2回点滅) ハイゲイン
- +/- 同時長押し で デジタルフィルター切替 (切断後も記憶される)(1~5まで順に切替)
- (LED 1回点滅) Mode 1 : Fast roll off, Low latency filter
- (LED 1回点滅) Mode 2 : Fast roll off, Phase compensated filter
- (LED 1回点滅) Mode 3 : Slow roll off, Low latency filter
- (LED 1回点滅) Mode 4 : Slow roll off, Phase compensated filter
- (LED 2回点滅) Mode 5 : Non over sampling filter
- + を押しながら接続で UAC1.0 に切替 (Nintendo Switch等と接続時に使用)

ケーブル接続は 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス共に対応しています。(同時には出力されません。)

裏側は平面で DECO.5 DAC HEADPHONE AMPLIFIER の文字があります。

手持ちのUSB DAC と並べてみました。上から、以下の通りです。
- EarFun UA100 (レビューはこちら)
- SUPERTFZ DECO.5
- FIIO KA13 (レビューはこちら)
- Astell&Kern AK HC2 (レビューはこちら)
- Astell&Kern AK HC3 (レビューはこちら)
- Astell&Kern AK HC4 (レビューはこちら)
こうしてみるとUSB DACの中では比較的小さめですね。
レビュー
使用感
サイズ感は小さめで軽いので使いやすいですね。これならスマホの裏につけるとかでも使いやすいと思います。サラサラとした質感で触っても指紋が目立たないのもGoodです。
発熱もあまりしないのもいいポイントです。1時間くらい使っていても、ひんやりしていたボディーがぬるくなったかなくらいでした。
ボリューム操作も非連動で60段階と独自に細かくできるのもいいポイントです。地味ですが、長押してスムーズに変わる、最大・最低になるとLED 点滅してわかるのも使いやすいですね。連打しないといけなかったり、最大・最低になったことがわからないものも多いなかでこれはありがたいです。
その他の切替に関してはLEDの色を分けてもらったほうがありがたかったですね。特にデジタルフィルターはMode 5 だけ2回点滅、それ以外は1回点滅するしかないので 2回点滅してから何回長押ししたかを数える必要があります。そこだけ少し面倒なポイントでした。
音質
押しの強い低域と広い高域、艶・潤いのある音粒が印象的です。
イヤホン・ヘッドホンの元々のバランスを活かしつつ、低域と高域(特に低域を)底上げしてくれる印象です。DAC によっては低域寄りになるだとか、高域寄りになるだとか、バランスを変えるものもあります。この DECO.5 はそういったどちらかに偏るような感じではなく、ローとハイを押し上げるようです。特に低音の押し・キレがグッと強まり、全体が引き締まります。
細かい音の印象としては余韻が少し増し、音に艶や潤いが足されたような感覚になります。手持ちの中では SUPERTFZ のイヤホンや finale A5000 なんかは元々輪郭がくっきりしているタイプなのですが、この DECO.5 を通すことでより麗しく、艶っぽくなりました。先述した低域と組み合わさることで、しっかりとした重みのある低域と、余韻・艶のある高域という2つの空間が共存しているようなイメージです。
余韻もあってか、空間も上下に広く感じられます。逆にいうとキレやドライさは控えめなので、(もちろん曲によらず楽しめますが)しっとりとした曲に合いそうです。
デジタルフィルターを切り替えることもできますが、イコライザーほどガラッとは変わりません。好みで選ぶのがいいですが、個人的には Mode 4 : Slow roll off, Phase compensated filter が好みでした。(Fast roll off ~ は高域に荒さを感じました。)
これまでの SUPERTFZ イヤホンはクリア・ドライさが共通の特徴としてありましたが今回のUSB DAC DECO.5 は打って変わって艶やかな音を出してくれます。
FIIO KA13との比較
今回は同じUSB DAC で価格の近い FIIO KA13 と比較します。FIIO KA13 のレビューはこちらです。
SUPERTFZ DECO.5 | FIIO KA13 | |
---|---|---|
DAC chip | CS43198 x 2 | CS43131 x 2 |
出力端子 | 3.5mmシングルエンド / 4.4mmバランス | 3.5mmシングルエンド / 4.4mmバランス + 3.5mm4極S/PDIF出力 |
シングルエンド出力 | 140mW(16Ω、THD+N≦1%) 125mW(32Ω、THD+N≦1%) | 170mW@32Ω |
対応操作 | ボリューム操作、ゲイン切替、デジタルフィルター切替、UAC1.0/2.0切替 | ボリューム操作、曲送り・戻し、デスクトップモード (アプリ) デジタルフィルター切替、SPIDIF |
バランス出力 | 150mW(16Ω、THD+N≦1%) 240mW(32Ω、THD+N≦1%) | 550mW@32Ω |
USB Audio Class | UAC 1.0 / UAC 2.0 | UAC 2.0 |
周波数応答 | 20Hz-80kHz(-0.5dB) | 20Hz〜50KHz(-1dB) |
S/N比 | 125dB (シングルエンド) 130dB (バランス) | 123dB(32Ω、A-weighted、シングルエンド出力) 122dB(32Ω、A-weighted、バランス出力) |
ノイズフロア | <1.0uV(シングルエンド) <1.5uV(バランス) | 1.7uV未満(A-weighted、シングルエンド出力) 3.1uV未満(A-weighted、バランス出力) |
対応サンプリングレート | PCM:768kHz / 32bit DSD:256(DoP) | 最高PCM384kHz/32bit、DSD256(DoP) |
サイズ | 52mm x 19mm x 11mm | 56.3mm x 22mm x 10.5mm |
重量 | 約16g(本体のみ) | 約18.5g(ケーブルを除く) |
参考価格(eイヤホン 2024/06/23現在) | ¥14,800 税込 | ¥13,200 税込 |
どちらも3.5mm/4.4mm両対応のUSB DAC ですが、ところどころ違いがあります。対応する操作は FIIO KA13 の方が曲送りとSPDIFに対応している点で多いですね。また、FIIO KA13はデスクトップモードの出力が最大550mWと高出力です。
一方、SUPERTFZ DECO.5 は UAC1.0 にも対応しているため、Nintendo Switch等でも使用可能です。また全体的にノイズが低めですので、よりクリーンな音が楽しめるということになります。
実際に聞いてみると、FIIO KA13 も SUPERTFZ DECO.5 も帯域のバランスは似ているようで、元のイヤホンからは大きく偏りがないタイプです。どちらも十分に解像度が高く、クリアに聴かせてくれます。
その中でも、FIIO KA13 はキリッとした輪郭で押しの強さ、(この2つを聞いた中では)荒々しさのようなものを感じました。テンポが早くてももたつきがないのはこちらですね。低域の押しの強さもFIIO KA13 の方があります。SUPERTFZ DECO.5 はそれよりかは輪郭が丸く、余韻もあってやはり艶っぽさを感じます。聴いていて疲れないのはDECO.5の方ですね。
余談ですが、発熱のなさも SUPERTFZ DECO.5 は優秀ですね。FIIO KA13 は数分再生すればじんわり暖かくなりますが、SUPERTFZ DECO.5 はまだまだ余裕のようでした。
まとめ
これだけ USB DAC が世に出ている中で SUPERTFZ がリリースした DECO.5 ですが、基本的な機能は揃えてあり、細かいところで使いやすかったりと後発なだけあって使いやすくできていますね。USB DAC の中ではエントリー帯に入りますが、音質も十分美麗です。ツヤツヤな音で音楽を楽しみたい方、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
それではまた次の記事で !
