Astell&Kern AK HC4 は、AKM AK4493S DAC チップを搭載したスマートフォン・PC 向けのポータブル USB DAC です。ケーブル着脱式・3.5mm/4.4mm 両出力対応・UAC 1.0 対応など、前世代の AK HC2/HC3 から使い勝手が大幅に向上しており、AK シリーズの集大成と呼べるモデルです。Astell&Kern のフラッグシップ DAP にも搭載されてきた独自技術「DAR(Digital Audio Remaster)」を備え、サウンドにさらなる艶と響きを加えることもできます。
本記事では実際に購入した筆者が内容物・外観・音質のレビュー、AK HC2 / AK HC3 との比較について記載しています。
AK HC4 まとめ
- QAK HC4 はどんな DAC?
- A
- シンプルでクールなコンパクトデザイン、ケーブル着脱式
- ナチュラルでパワフル、HC2 の広がり・HC3 の艶を兼ね備えた高解像度サウンド
- 3.5mm アンバランス / 4.4mm バランス 両対応
- DAR(Digital Audio Remaster)搭載でより艶のある音も楽しめる
- UAC 1.0 対応により Nintendo Switch・PS5 でも使用可能
- 向いている人
- AK HC2 のパワフルさと HC3 のナチュラルさ、両方の良さを求める方
- 3.5mm / 4.4mm のどちらでも AK サウンドを楽しみたい方
- ゲーム機でも高音質オーディオを使いたい方
- 向いていない人
- HC2 の鋭い分離感・広がりを純粋に求める方
- HC3 の柔らかい艶を突き詰めたい方
- 3.5mm でマイク入力が必要な方
AK HC2/HC3 のレビューはこちら。

AK HC4 製品情報
DAC AKM AK4493S 対応サンプリングレート PCM : 384KHz/32bit
DSD : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオ入力 USB Type-C (UAC 2.0 / UAC 1.0 切替可能) 出力 3.5mmアンバランス出力 (3極)
4.4mmバランス出力(5極GND結線)アウトプットレベル(無負荷) 2Vrms(アンバランス) / 3Vrms(バランス) 出力インピーダンス 0.9Ω(アンバランス 3.5mm) / 1.6Ω(バランス 4.4mm) 周波数特性 ±0.062dB (20Hz~20KHz), アンバランス / ±0.063dB (20Hz~20KHz), バランス
±0.066dB (20Hz~70KHz), アンバランス / ±0.067dB (20Hz~70KHz), バランスS/N比 118dB @ 1KHz, アンバランス / 118dB @ 1KHz, バランス aiuto https://www.iriver.jp/products/product_244.php より
- DAR(デジタルオーディオリマスター)テクノロジーで原音をより鮮やかに
- AKMのサンプルレートコンバーターAK4137EQを使用したリアルタイムアップサンプリング機能
- UAC 2.0/UAC 1.0切替機能を搭載によりゲーミングDACとして使用可能
AK HC2/HC3 と比較すると、HC4 の進化ポイントは多岐にわたります。ケーブル着脱式への変更・3.5mm/4.4mm 両出力対応・本体ボタンでのボリューム操作・UAC 1.0 対応・DAR 搭載と、使い勝手とサウンドの両面で大きなアップグレードが施されています。DAC チップは AKM AK4493S のシングル構成ですが、DAR 機能ではさらに AK4137EQ も活用されています。Astell&Kern のフラッグシップ DAP に搭載されてきた DAR 技術をこの価格帯で体験できるのは大きな魅力です。
ギャラリー
内容物

付属品の構成はシンプルながら充実しています。
- 本体
- USB Type-C to C ケーブル(高耐久デュアルノイズシールドケーブル)
- USB Type-C to Lightning ケーブル(高耐久デュアルノイズシールドケーブル)
着脱式ケーブルへの変更により、用途に合わせてスマートに使い分けられます。Lightning ケーブルも同梱されているため、iOS ユーザーも追加投資なしでそのまま使い始めることができます。ケーブルはファブリック素材で覆われており、硬さと耐久性を両立した仕上がりです。
AK HC4 本体

本体はほどよいカーブがあり、手に収まりやすいシンプルかつスタイリッシュなデザイン。3.5mm / 4.4mm 両方の出力ポートを前面に備え、右側面には以下の操作系が配置されています。
- ボリューム +/- ボタン(同時長押しで UAC 1.0 への切り替えも可能)
- DAR(Digital Audio Remaster)ON/OFF 物理スイッチ
DAR スイッチはパチっとした感触の物理スイッチで、視覚的にも ON/OFF の状態がひと目でわかります。

USB Type-C の着脱式ケーブル接続端子は本体底部に1ポート。付属ケーブル以外での接続も問題なく行えます。

裏面には “Astell&Kern” のロゴが印字されています。前世代の HC2/HC3 にはなかったブランドロゴが加わり、デザイン面での完成度も高まっています。

本体には動作状態を示す LED インジケーターが搭載されており、再生フォーマットや接続モードを色で確認できます。
- 接続時 : ホワイト
- PCM 再生時 : レッド
- DSD 再生時 : ブルー
- UAC 1.0 動作時 : グリーン
試聴環境
- 試聴イヤホン: 各種イヤホン(バランス/アンバランス接続)
- 接続デバイス: Xperia 1 II、Pixel 3、MacBook Pro
- 再生アプリ: Youtube Music、Amazon Music、プリインストール ミュージックアプリ
- 再生フォーマット: ストリーミング(ロスレス含む)
- 試聴ジャンル: J-POP、ロック、ライブ音源 等
AK HC4 レビュー
使用感
接続のしやすさ
HC3 で見られた「DAC 単体を接続しても認識されない」という挙動は HC4 では解消されています。HC4 をスマートフォンや PC に接続するだけで認識され、すぐに再生をスタートできます。
Nintendo Switch への UAC 1.0 モード接続もスムーズです。ボリュームボタン +/- を同時に長押しするだけで切り替えられ、ゲームサウンドをより鮮明な音質で楽しめます。ただし UAC 1.0 動作中は本体ボタンでのボリューム操作が無効になるため、音量調整はデバイス本体側で行う必要があります。
ノイズについて
EarFun UA100・FIIO KA13 と比較すると、接続環境によってはわずかなノイズが乗る場合がありました。Xperia 1 II で Youtube Music・Amazon Music を使用した際にサーというノイズを確認できましたが、再生中の音楽が流れている間は気になるレベルではなく、無音区間に集中して耳を傾けてようやくわかる程度です。MacBook Pro や Pixel 3 での使用時はノイズはほぼ感じられませんでした。高感度イヤホンや静粛な環境で使用する場合は、接続デバイスとの相性を事前に確認することをお勧めします。なお AK HC アプリは HC4 では非対応となっています。
ボリューム操作
HC2/HC3 とは異なり、本体ボタンでボリュームの上下操作が行えます。ただしこれは本体内部での独立した音量調整ではなく、接続先デバイスへ変更指示を送る仕組みです。OS 側の音量と連動するため、FIIO KA13 のような独自の細かい調整はできませんが、片手で直感的に操作できる点は便利です。
AK HC4 音質 : HC2の広がりとHC3の艶が共存するバランス型サウンド
解像度・低域・高域 : AKサウンドの骨格は健在
解像度の高さ・低域の沈み込み・高域の伸びやかさといった AK サウンドの根幹は、HC4 でもしっかりと受け継がれています。多重トラックの楽曲でも各パートを丁寧に聴き分けられ、ライブ音源の臨場感やホールの残響感も精緻に再現してくれます。
HC2とHC3の良さを一台に : ナチュラルでパワフルなサウンドキャラクター
HC2 が持つキレキレでクールな方向性と、HC3 のしっとりとした艶やかさ——この2つをバランスよく融合させたのが HC4 の音の個性です。HC2 のパワフルな左右の分離感・広がり感と、HC3 のナチュラルでウォームな質感、それぞれの長所がひとつにまとまっています。全体的にはキレよりもつながりを重視し、クールよりはウォームな印象を持ちつつも、音の密度はしっかりと保たれています。
3.5mmアンバランスでもAKサウンドを発揮
特筆すべきは、3.5mm アンバランス接続でも AK サウンドの良さを十分に楽しめる点です。HC2 が 4.4mm バランス専用、HC3 が 3.5mm アンバランス専用だったのに対し、HC4 では両端子でクオリティの高いサウンドを発揮します。普段 4.4mm をメインで使う方はもちろん、3.5mm 環境のみの方にとっても HC4 は魅力的な選択肢です。
DARの効果 : ボーカルに乗る微妙な艶感
DAR をオンにすると、ボーカルや楽器の音にわずかな響きと艶感が加わります。劇的な変化というよりは「空気感がほんの少し増す」程度の差ですが、ジャンルや曲調によってオン/オフを使い分けると楽しみが広がります。

なお DAR の ON/OFF の見分け方として、本体スイッチで緑色が見えている側が ON です(説明書には記載なし)。
まとめ : 特定の方向性に偏らない、幅広く使える万能型サウンド
HC4 は HC2・HC3 のいずれかを純粋に上回るというよりは、両者の魅力を一台に凝縮した万能機というイメージがぴったりです。特定の音楽ジャンルや接続環境に縛られることなく、あらゆる場面で安定した AK サウンドを楽しみたい方に向いています。
AK HC2 / AK HC3 との比較


aiuto AK HC2 https://www.iriver.jp/products/product_226.php#2
AK HC2 AK HC3 AK HC4 DAC Cirrus Logic CS43198×2
(Dual-DAC)ESS Technology ES9219MQ×2
(Dual-DAC)AKM AK4493S 対応サンプリングレート PCM最大 : 384KHz/32bit
DSD最大 : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオPCM最大 : 384KHz/32bit
DSD最大 : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオPCM : 384KHz/32bit
DSD : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオ入力 USB Type-C / Lightning(付属変換コネクター使用) USB Type-C / Lightning(付属変換コネクター使用) USB Type-C (UAC 2.0 / UAC 1.0 切替可能) 出力 4.4mm5極バランス出力 (GND接続あり) 3.5mmアンバランス出力 (CTIA規格4極マイク・コントローラー入力対応) 3.5mmアンバランス出力 (3極)
4.4mmバランス出力(5極GND結線)アウトプットレベル バランス 4Vrms (無負荷) 2Vrms (無負荷) 2Vrms(アンバランス) / 3Vrms(バランス) S/N比 122dB @ 1kHz, バランス 118dB @ 1kHz 118dB @ 1KHz, アンバランス / 118dB @ 1KHz, バランス クロストーク -146dB @ 1kHz, バランス -130dB @ 1kHz -134dB @ 1KHz, アンバランス / -136dB @ 1KHz, バランス 出力インピーダンス バランス 4.4mm (1.5Ω) 2Ω 0.9Ω(アンバランス 3.5mm) / 1.6Ω(バランス 4.4mm) 参考価格
(e☆イヤホン)(価格は変動することがあります)¥9,900 税込 ¥ 17,640 税込 ¥29,700 税込
AK HC3 https://www.iriver.jp/products/product_230.php#2
AK HC4 https://www.iriver.jp/products/product_244.php#2 より
HC4 だけシングル DAC なのは意外な点ですが、DAR 機能で AK4137EQ を追加活用していることが影響しているかもしれません。また HC4 では 3.5mm のマイク入力(CTIA 4極)に対応しなくなった点は惜しいところです。大まかには HC4 は HC2 と HC3 の中間に位置するモデルと言えます。アウトプットレベル・S/N 比は HC2 が最も高いスペックを持っています。
vs AK HC2 : 分離感・出力パワーはHC2に軍配、万能性ではHC4が上回る
HC2 はキレのあるクールなサウンドと高い左右分離感・空間の広がりが際立ちます。アウトプットレベル 4Vrms(バランス)・S/N 比 122dB と HC シリーズ最高水準のスペックを持ち、4.4mm バランス専用であることもあって、分解能や空間表現の鋭さでは HC2 が一段上に感じます。一方で HC4 は 3.5mm/4.4mm 両対応で、HC2 が届かなかった 3.5mm アンバランス環境でも AK サウンドの良さを発揮できます。HC2 のパワフルな分離感を最優先するなら HC2、両接続端子に対応した利便性と万能性を求めるなら HC4 という棲み分けになります。
vs AK HC3 : 艶のあるナチュラルさはHC3の独壇場、総合力はHC4
HC3 は 3.5mm アンバランス専用ですが、ESS Technology の Dual DAC によって生み出されるしっとりとした艶とナチュラルな生っぽさが魅力です。改めて聴き比べると、HC3 の方がよりドライバー本来の音に近い生々しい印象が強く感じられます。HC4 はそのナチュラルさを受け継ぎつつ、より安定したパワー感と 4.4mm バランス対応を加えたモデルという位置づけです。3.5mm のみでナチュラルな響きを突き詰めたいのであれば、HC3 は依然として有力な選択肢と言えます。
AK HC4 まとめ
- QAK HC4 はどんな DAC?
- A
- シンプルでクールなコンパクトデザイン、ケーブル着脱式
- ナチュラルでパワフル、HC2 の広がり・HC3 の艶を兼ね備えた高解像度サウンド
- 3.5mm アンバランス / 4.4mm バランス 両対応
- DAR(Digital Audio Remaster)搭載でより艶のある音も楽しめる
- UAC 1.0 対応により Nintendo Switch・PS5 でも使用可能
- 向いている人
- AK HC2 のパワフルさと HC3 のナチュラルさ、両方の良さを求める方
- 3.5mm / 4.4mm のどちらでも AK サウンドを楽しみたい方
- ゲーム機でも高音質オーディオを使いたい方
- 向いていない人
- HC2 の鋭い分離感・広がりを純粋に求める方
- HC3 の柔らかい艶を突き詰めたい方
- 3.5mm でマイク入力が必要な方
HC2/HC3 それぞれの強みを取り込みつつ、利便性も大幅に向上させた HC4。DAR によるサウンドカスタマイズや UAC 1.0 対応など、使える場面の幅広さも際立ちます。HC2/HC3 からのアップグレードを検討している方はもちろん、AK サウンドに初めて触れる方にとっても HC4 は入りやすい一台です。3機種を揃えて使い比べると、それぞれの個性の違いが面白いほど際立ちますよ。
最後までご覧いただきありがとうございました。それではまた次の記事で ! よければSNSフォローもどうぞ。




